2022年05月10日
会社にとって「人材」は宝です。
その人材がよりよい働きができるようサポートするのが、労務管理の仕事といえます。
しかし管理する範囲が広く、労働環境を維持するのは決して楽ではありません。
中でも役員運転手の労務管理は、さまざまな問題点があり非常に困難です。
そこで今回の記事では、役員運転手の労務管理の中でもとくに悩まされる「教育」「待機時間」「長時間労働」「パワハラ」の4つの問題点と、その解決方法をご紹介します。
役員運転手の労務管理でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
1. 労務管理を悩ませる役員運転手の仕事
労務管理担当者が役員運転手の労務管理が難しいと感じる理由は、その仕事内容が理由のひとつです。
ここで役員運転手の仕事の特徴をあげてみましょう。
<役員運転手の仕事の特徴>
・単独で仕事を行う
・同じ仕事をする同僚がいない(代わりがいない)
・自分のペースで仕事ができない
このようなことから役員運転手は何かトラブルが起きなければ、実態が分かりにくいという難点があります。
では実際に、どのような問題が起きるのでしょうか?
次の章では、役員運転手に関連する労務管理の問題点をご紹介します。
2. 役員運転手の労務管理の問題点
役員運転手の労務管理に関する問題点は主に以下の4つが挙げられます。
<役員運転手の労務管理の問題点>
・教育が難しい
・待機時間が長い
・長時間労働で残業代が高くつく
・パワハラに気付きにくい
特殊な業務だからこそ、起きる問題点ばかりです。
ひとつずつ詳しくご紹介します。
2-1. 教育が難しい
問題のひとつとして、役員運転手の仕事は、通常の従業員とは異なり教育が難しい点が挙げられます。
一般的な企業理念やビジネスマナーであれば問題なく教育できますが、運転技術やドアの開閉サービスのような役員運転手ならではの業務に関しては、経験者でなければ教えられません。
かといって求人を出しても、研修不要の優秀な人材を雇用できるとも限りません。
採用面接で、役員運転手としての資質を見極めるのも困難なため、採用・教育ともに労務管理担当者としては、頭を悩ませる問題だと言えるでしょう。
2-2. 待機時間が長い
タクシー運転手やトラックドライバーなど、数あるドライバー職の中でも役員運転手はとくに運転時間が短い職種です。
出社後あまり外出することのない役員の担当であれば、多くの時間を待機して過ごすことになります。
しかし待機時間は休憩時間ではありません。
自由に外出することはできず、急なスケジュール変更にも対応できるように準備していなければなりません。
そのため待機時間といっても、労働時間とみなされ給与が発生します。
仕事をしない時間があまりにも長いことは、会社としてはあまり好ましくありません。
その時間をどう過ごさせればよいかが問題となります。
2-3. 長時間労働で残業代が高くつく
役員運転手の労働時間におけるもう一つの問題点が、長時間労働です。
役員には労働時間の規定がありません。
そのため夜間や休日も、接待や会合などで仕事をしている方も多くいらっしゃいます。
役員運転手の仕事は役員の業務によって決まるため、結果的に役員運転手の時間外労働が増えてしまいます。
残業代が高くつく上に、36協定で時間外労働に月45時間・年360時間という罰則付きの上限が設けられたことも問題です。
有給休暇の取得もさせたいけれど、代わりがいないからそれも厳しい…という企業もあるでしょう。
働き方改革と役員の仕事の補佐をしなければならないという板挟みで、苦労されている方も多いのではないでしょうか。
2-4. パワハラに気付きにくい
パワハラは受けた側の心身に不調をきたすことや離職の可能性があるため、事前に阻止しなければなりません。
多くの役員の方々は皆さん人格者ですが、中には個性が強く役員運転手と相性が合わない方もいらっしゃいます。
役員車という密室の中では、役員と役員運転手の二人きりの時間が長くなりがちです。
そのようなときにパワハラが起きると、第三者の目がなく、主張は双方の言い分のみになってしまいます。
役員の行いが、適切な指導だったのか?私的なことに立ち入りすぎていないか?といったことの確認ができず、問題解決に時間がかかってしまう可能性もあります。
3. 役員運転手の労務管理問題を解決する4つの方法
どの問題も、役員運転手に責任があるわけではないため、解決法を探すのが困難に感じるかもしれません。
しかし少しでも従業員が働きやすい環境を作るために、できるところから改善していかなければなりません。
ここでは、解決の糸口となる4つの方法をご紹介します。
3-1. 外部に教育を依頼する
自社での教育が難しいのであれば、外部に依頼する方法を検討しましょう。
役員運転手専門の派遣・請負会社の中には、外部教育を行っている会社があります。
役員運転手専門の派遣・請負会社はいわば役員運転手のプロ集団。
教育体制が整っている企業も多くあります。
マナーやルート設定の方法・エスコートの仕方などを学ぶことで、見違えるほどよい役員運転手になるでしょう。
3-2. 労働条件を改める
どのような労働条件で雇用しているかを再度チェックしてみましょう。
その際就業規則と照らし合わせることも重要です。
土日休みと規定しているにもかかわらず、頻繁に出勤させているようでは問題があります。
また待機時間が長い場合は、その間の過ごし方も再考が必要です。
たとえば秘書業務と兼任させる、他部署の手伝いをさせるといった方法もありますし、役員の出退勤時以外はほとんど運転がないのであれば、その時間だけ勤務するパートやアルバイトに変更する方法もあります。
多忙で時間外労働が多ければ、時間外の分だけほかのドライバーを雇用する方法も考えられます。
36協定の時間外労働規定を考慮しながら、よい方法を考えましょう。
3-3. 相談窓口を設置する
2022年4月より、労働施策総合推進法による「パワーハラスメント防止措置」が、中小企業の事業主にも義務化されました。
これにより企業は、ハラスメントの相談窓口設置といった体制を整える必要が出ています。
しかしハラスメントに関する問題、とくに役員が関係しているものは「今後の関係性も考えると対応しにくい」と感じる労務管理担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その場合は相談窓口の外部委託を検討してみましょう。
間に第三者が介入することで、スムーズな解決が可能なこともあります。
3-4. 派遣・請負会社に役員運転手を依頼する
万が一パワハラや長時間労働の負担などで役員運転手が退職してしまった場合、新しい人材の雇用を検討しなければなりません。
イチから採用活動を行うのは非常に時間と手間がかかります。
そのような場合は、派遣・請負会社に役員運転手の依頼をするのもおすすめの方法です。
希望を伝えれば、それに合った人材を紹介してもらえるうえに、研修である程度のスキルを身につけているため、社内研修も不要。即戦力になるでしょう。
おすすめの派遣・請負会社である都内の「セントラルサービス」では、運転技術だけでなくビジネスマナー・ルート設定の方法・身だしなみなど、こまかな研修を受けた人材が揃っています。
また、お客様からの依頼で役員運転手の外部教育をおこなった経験もあります。
教育で困っている方も一度相談してみるとよいでしょう。
4. まとめ
社内の労務管理は非常にデリケートな一方で、社員を守り働きやすい環境を作るためにも重要な役割を果たします。
労務管理の中でも、特殊な業務である役員運転手は非常に厄介です。
教育や長時間労働・賃金・パワハラなど、さまざまな問題が噴出する可能性も。
しかし、労務管理をしっかり行いその都度対策をしていくことで離職率も下がり、従業員の会社に対する満足度も上がります。
よい人材を手放さずに済むよう、ご紹介したような解決法を使って対策を行いましょう。
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